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【水辺の物語】春の訪れ告げるシロウオ漁 和歌山・広川

【水辺の物語】春の訪れ告げるシロウオ漁 和歌山・広川

梅の花がほころぶ頃に始まり、桜が見ごろを迎える頃に終わる漁がある。
 和歌山県の湯浅町と広川町の境を流れる広川で行われる「シロウオ漁」だ。広川は白馬山脈を起点に、紀伊水道に注ぐ流路約19㌔の二級河川。この川の汽水域では、毎年2月中旬から3月下旬にかけて、シロウオを求める漁師が網を振る。
 ハゼ科のシロウオは体長4~5㌢の透明感のある小魚で、「シラウオ」とは違う魚。
 古くから伝わる漁法は川岸に組んだやぐらから「四つ手網」と呼ばれる大きな網を使って行う。産卵のために海から川へ上るシロウオを川底に沈めた網ですくい上げる。
 「僕の先輩が使ってた網は100年以上、直し直し使っている」。こう話すのは広川の近くで理容店を営むかたわらシロウオ漁を継承する塚田昌秀さん(70)。
 昭和35年ごろ、川には35基のやぐらがずらりと並び、一升、二升も獲れたという。しかし、体への負担が大きい上に、漁獲量が減少し、平成に入り、漁師は3人になっていた。
 忘れかけていた漁法を町づくりに生かそうと、平成13年、塚田さんらの継承活動が始まった。

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