【2025.06.05 OA】
近年、記録的な不漁が続く日本海でのスルメイカ漁。今シーズンの操業が始まるのを前に、イカの町復活にかける関係者の思いを取材しました。
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まもなく、中型イカ釣り船が日本海に向けて出漁する、石川県能登町の小木港。
ただ、中型イカ釣り船第28宝来丸の斎藤幸雄船長はいま、あることに頭を悩ませています。
第28宝来丸・斎藤 幸雄 船長:
「前ならなんぼ、どんな所いったって、漁獲がゼロということは決してあり得なかったから… それこそ、刺身で食べるイカも揚がらないって全く皆無だ。それだけやっぱ資源がないって言えばいいか」
この数年、小木のスルメイカの水揚げ量は右肩下がりで推移。
昨シーズンは過去最低を更新し、記録的な不漁が続いています。
第28宝来丸・斎藤 幸雄 船長:
「前はこの辺、ドル箱だったのよ。ドル箱」
かつては、イカの大群がいたという北海道沖の漁場も…
第28宝来丸・斎藤 幸雄 船長:
「ここ何年かは全くゼロだもんだから、ここの津軽海峡あるけども、この40度から北に上がったことないもん」
密漁の横行や海水温の変化などで、資源量が激減してしまいました。
イカ釣り漁が最も盛んだった昭和50年代には、港が船であふれていた小木港。
船内で急速冷凍する船凍イカは、品質の良さが評判を呼び、イカの町として小木は発展してきました。
しかし、後継者不足もあり、小木を拠点とする中型イカ釣り船は今シーズン、過去最少の7隻に。
燃料費の高騰が追い打ちを掛けますが、それでもこの道60年の斎藤船長は、伝統のイカ釣り漁を絶やすわけにはいかないと話します。
第28宝来丸・斎藤 幸雄 船長:
「いい時も、悪い時も、これを越えてきて、やってきているのが漁師なんだ。『これでもか、これでもか』と、つないできたのが漁師根性というか、まあ漁師根性だった。やってれば、まだ良いこともあるんでないかと頑張ってんだよ」
イカの町の存続へ…
こうした中、小木には独自の取り組みを進めるお店があります。
和平商店・浅井 園子 専務:
「この茶色いのがね、この鮮度の証なんですよ。釣りたてですぐに冷凍したっていう証になります」
イカの加工食品を製造する和平商店。
和平商店・浅井 園子 専務:
「イカの鉄砲焼きとか、イカの刺身とか、一夜干しとか、作っているところで」
スルメイカの不漁で、商品の価格やサイズに影響はあったものの、震災のあとは注文が増え、売り上げは順調に推移。
こちらではこんな商品の開発にも取り組んでいます。
和平商店・浅井 園子 専務:
「スルメイカで作ってる『能登いか煎餅』ってあるんですけど、これ半分、アカイカを入れて、ちょっと作ったり。試作してます」
イカの町存続をかけ、遠く離れた太平洋のアカイカの漁場にも向かう、小木のイカ釣り漁船。
そのアカイカを使って試作したせんべいです。
和平商店・浅井 園子 専務:
「小木の漁業者さんが一生懸命、そんなに離れたところまで行って、やっぱり漁業をつないでいこうと努力しておられるわけだから、いろんなノウハウとか、いろんな努力をやっぱりつないでいかないと、もったいないしね」
目指すのは、年内での商品化。
和平商店・浅井 園子 専務:
「多分いい商品ができると思いますよ。やっぱり頑張らないと、負けてられないんです」
来週にも始まる今シーズンの日本海での中型イカ釣り船の操業。
イカの町、復活への思いを胸に、ことしも漁師たちは船を出します。
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